ヘッジファンドについてよくある質問

日本のヘッジファンドマーケット背景

日本の投資家の多くは、ヘッジファンドへの預託は常に大変高いリスクがともなう、というイメージをお持ちのようですが、そのようなイメージは、やや時代遅れといわざるをえません。

まず、典型的な例として、世界規模で投機を行うジョージ・ソロスのような、高収益ではあるけれども、高い変動率もともなう、そのようなヘッジファンドを想像されるでしょう。

じつは、そのような例は、かなりの少数派である、というのが現実です。

「ヘッジファンド」とは広範囲の投資手法、あるいは投資戦略を網羅する非常に広義な用語で、ヘッジファンドの多種多様性は、まさに夜空に輝く星たちのようなものといえます。

ヘッジファンドに関してあまりご存知でない投資家の皆様視点からみると、ヘッジファンドはどれも似たようなものであるかのようですが、実は、いろいろな種類があります。

遠くから見ると似ているようでも、間近で見ると、実は異なっているのです。

私どもの視点から申し上げますと、ヘッジファンドとは、特定の手法にこだわらない柔軟性に富んださまざまな運用戦略を持ったファンドである、といえます。

ヘッジファンドとは、海外でよく利用されるミューチュアルファンド、マネーマーケットファンド、その他の特定性を持った投資手法とは異なります。

ヘッジファンドの現実とは、一般的なイメージとはむしろ逆で、投機的で高収益を目標としているものは全体の約1割しかなく、およそ9割以上のヘッジファンドは、どちらかといえば安定性を重視し、主要な市場の方向性に左右されずに市況収益を上回ることを目標としています。

当初は、一定の資産を持つ個人のみが「ヘッジファンドの顧客となる資格を持った」投資家で、ヘッジファンドの顧客とは、少なくとも100万米ドル以上の資産を保有し、社会的地位と一定の投資経験を持つ層に限られていました。

しかし、現在では機関投資家や、より幅広い層の個人投資家も、ヘッジファンドを資産配分先の一つとして利用しています。

税法上、ヘッジファンドを分類すると、法律上の組織の所在地、または、資金運用のための取引の管理と決済がどこで行われているか、により2種類に大別されます。

オンショアファンドとよばれるヘッジファンドの場合、留意すべき法的要項があります。

アメリカ国内の所在扱いである場合、預託者数は99人に制限されており、その預託者のうち最低でも65人は「一定の条件を満たさなければならない」と定められています。

運用管理者は、通常、運用益の20%、および一定の率の資産管理費を徴収します。

この資産管理費は、運用対象となる資産の1%が一般的といわれています。

ヘッジファンドの大多数は、なんらかのリスク回避策を講じますが、このリスク回避策により、市場条件にあまり左右されない収益が可能になります。

2008年9月のリーマン・ブラザーズの倒産以来、市場は大きく混乱しています。ネガティブリターン、ロスを取り戻すための より高い目標設定 、および債務担保証券についての流動性に欠ける状況から、多くのヘッジファンドが2009年と2010年に閉鎖へ 追い込まれました。 しかしながら、2003年-2006年の間のヘッジファンドのブームのように、グローバルな投資銀行内部の ヘッジファンド出身の経験豊富なトレーダーによる、新しいヘッジファンドの2番目の波が特にアジアで広がるでしょう。 米国における銀行救済から、プロップ取引きを難しくしている米国の規則のために、このトレンドはアジアや日本において、 新たなセルサイド・トレーダーからバイサイドへトレーダーをバックアップし、ヘッジファンド業界の再生を引き起こすことになるでしょう。

オフショアヘッジファンドとは、通常、カリブ海、アジアあるいはヨーロッパ等の租税回避地に所在地を持つものをいいます。

米国籍の預託者がいない限り、預託者数に対する法的制限はありません。預託者の数も100を超えており、変動を嫌う投資家の方々には、このようなタイプのヘッジファンドが最も適しているといわれています。

ヘッジファンドを利用する際、留意すべき要項

1) 運用担当者はどんな人物ですか?

その担当者の過去の運用成績はどのようなものですか?
関連した運用分野も含めて運用経験は何年ぐらいですか?
運用担当者は、自身の個人資金50万米ドル以上を預託していますか?

2) 運用成績の監査に対して、どのような会計手法を利用していますか?

もし利用されている場合、何年程度その会計手法を利用しているのですか?
そのヘッジファンドに適用される法体系と税制は、どの国のどのようなものですか?
資金や運用担当者を審理するような公的機関はありますか?

3) 運用資金に対するリスク回避策はどの程度のものですか?

デリバティブはリスク回避の一環としてのみ使用されるのですか?
レバレッジやギアリングが行われているとするならば、資金に対する比率はどの程度のものですか?
運用期間中の損益の判断基準・許容範囲とはどのようなものですか?

4) ファンドへの資金預託・途中償還・解約の柔軟性は?

手数料体系はどのようなものですか?
どのくらいの頻度で変更、見直しがありますか?

5) 新興市場に対応するための投資戦略変更の俊敏性は?

変更する場合、ある一定の条件にそって行われるのですか?
収益に対するリスクの許容度は一定の手法によって見直されるのですか?
それとも、運用担当者の判断や視点によるものですか?